Fordです。
「若おかみは小学生!」絶対見てくれよな
(今年は開催しませんでしたが)自分が開く大会では、多種多様なサブイベントがひとつの特徴です。
収容できる参加者数や要するスタッフ人数、所要時間、もちろん個人的な好みも踏まえつつ、いつどこで何を誰が行うか考えるのは非常に楽しいです。自己満足的な側面はありつつも、多くの方に参加していただけるとやはり嬉しいものです。プレイヤーとして参加するときも、何かしら面白そうな企画が用意されていると「運営が頑張ってそうだな」「出てみようかな」という気分になったものでした。
今回、個人的な整理の意味合いも兼ねてサブイベントを分類するとともに、5段階評価や寸評、運営上の簡単な注意点を記事にしてみました。
(5段階評価について)
敷居の低さ:参加しやすさ。手ぶらで遊べると★が多く、事前準備を要したり精神的な壁があるものは★が少ない。
収容人数 :一度に遊べる人数。多ければ★が多く、少なければ★が少ない。
運営負荷 :スタッフの負担。少人数か参加者のみで可なら★が多く、スタッフ人数や知識を要すると★が少ない。
時間負荷 :要する時間。短時間でも遊べるものは★が多く、大会後半からの開催が難しいものは★が少ない。
個人的好み:単なる好み(Ford主催大会で導入される可能性ともいえます)
※実際のイベント内容でかなり変わるので、ちょっとした印象程度と考えていただきたく
■通常対戦系
ex)大規模サブトーナメント、少人数ミニトーナメント、ガンスリンガー(スターチップ争奪戦など)
敷居の低さ:高★★★★☆低
収容人数 :少★★★★★多
運営負荷 :高★★★★☆低
時間負荷 :長★★☆☆☆短
個人的好み:嫌★★★★☆好
「普段と同じデッキ・同じルールで、不特定多数の相手と対戦する」系サブイベント。
サブイベントについての考え方として、最も重要なのは「プレイヤーは遊戯王をするために大会へ来ており、そのための練習や準備をしている」ということだと思っています。
シンプルなサブトーナメントは、予選で敗北してしまった=遊戯王し足りないプレイヤーの救済となって参加意欲を喚起できます。(デッキが弱すぎてもう使いたくない!という場合はあるかもしれませんが)もっと言えば、あまり興味の湧かないサブイベントへ参加するよりは、友人同士でフリー対戦をする方がよっぽど好まれるのが事実です。
運営的にも本選と同じことをするだけなので、スペースさえ確保できればそれ程手間が増えるわけではありません……が、そのスペース確保が結構面倒なのは頭に留めておく必要があります。例えば予選32チームの大会で、本選8チーム+サブトナメを並行するとして、24チーム分のスペースがまるまる残っているかというとそうではありません。フリー対戦に興じるプレイヤーは概して1人1席以上を占有するので、スペース確保は早めに呼びかけておく必要があります。
時間負荷を解消できるオススメはミニトナメです。4人1組程度で各々対戦を進めてもらい、終わったら結果報告→景品授与、といった流れです。大規模サブトナメだと対戦時間の長さがネックになりますが、この形式であれば2ラウンド分の進行時間で済み、プレイヤーも複数回チャレンジできます。
■特別対戦系
ex)有名プレイヤーに挑戦、スタッフと対戦、オベリスク・フォースやハノイの騎士に挑戦
敷居の低さ:高★★★☆☆低
収容人数 :少★☆☆☆☆多
運営負荷 :高★☆☆☆☆低
時間負荷 :長★★★★☆短
個人的好み:嫌★★★★★好
「普段と同じデッキ・同じルールで、特定の相手と対戦する」系サブイベント。
一度に対戦できるのは(二面打ち・三面打ちをしない限りは)一人のみと、収容人数の効率が悪い分、体験の面白さは高く見積もることができます。対戦だけでなく会話もできるので、挨拶のキッカケやデッキ構築論を伺う機会にもなることが良い所です。
肝となるのは、それに見合うだけの対戦相手を用意できるかです。「予選落ちしたらお願いできますか?」など、事前に一声掛けておくと良いです。事前告知せず、条件が揃ったら突発で行うことにしても良いでしょう。
スタッフとの対戦でも、景品が出るなら参加者はそこそこ集まると思うのですが、あまり好まれなさそうなのは「スタッフが特殊デッキを使用する形式」です。スタッフ側と観戦者は楽しめるものの、参加者的には理不尽感が否めないかもしれません。
はねまんCSにて、Tetsuさんとともにそういった企画をさせてもらったときの様子。もう6年前かよ……
■特殊レギュレーション系
ex)特殊制限(B級戦)、過去制限(ゲートボール)
敷居の低さ:高★☆☆☆☆低
収容人数 :少★★★★★多
運営負荷 :高★★☆☆☆低
時間負荷 :長★★☆☆☆短
個人的好み:嫌★☆☆☆☆好
「普段と異なるデッキを、参加者自身が持ち込んで対戦する」系サブイベント。
先述の通り、「プレイヤーは遊戯王をするために大会へ来ており、そのための練習や準備をしている」ので、特殊レギュレーションのデッキで練習する時間は必然的に少なくなります。構築に割く時間すら惜しいかもしれません。この手のサブイベントは参加者が少なく、そもそも対戦が成立しない様子も見かけます。
人員的にも特殊レギュレーションに精通したスタッフが必要であり、個人的にはあまりオススメしない企画です。
例外として、その時期や地域で流行しているレギュレーション(ハイランダー構築やゲートボールなど)が存在するのなら、むしろ普段CSに来ないであろう元環境プレイヤー等を呼び込めるので悪くないと思います。
■リミテッド系
ex)キューブドラフト、ストラクチャーデッキ戦、デッキ貸出戦、チームシールド
敷居の低さ:高★★★★☆低
収容人数 :少★★☆☆☆多
運営負荷 :高★★☆☆☆低
時間負荷 :長★★★☆☆短
個人的好み:嫌★★★★☆好
「自分でデッキを持ち込むことなく対戦する」系サブイベント。(MTGの原義的には「リミテッド=限定構築」ですが、構築戦でない場合を含みます)
特殊レギュレーションとは異なり、デッキを組んでくる必要がないので手軽です。未経験の人でも参加しやすいよう、遊び方やルールの説明方法、またはアナウンスでどう魅力を伝えるかは考えておくべきでしょう。
一方、運営側は結構な事前準備が必要です。プレイヤーにカード管理を委ねるため、意図的か否かに関わらず盗難の懸念はあります。(コピーカードはひとつの解答ですが、あまり好みではなく…)
ドラフトですと、参加者が自前で持ち込む姿もしばしば見られます。過去に自分が行った大会では、参加者が持ち込んだドラフトに対して、賞品提供・人数が足りない場合の募集を代行する「ドラフトサポート」という企画を行ったことがあります。
■クイズ系
ex)筆記テスト、お絵かきクイズ、遊戯王かるた
敷居の低さ:高★★★☆☆低
収容人数 :少★★★☆☆多
運営負荷 :高★★☆☆☆低
時間負荷 :長★★★☆☆短
個人的好み:嫌★★★☆☆好
「遊戯王に関する知識等で解答する」系サブイベント。
遊戯王マニア向け企画……で一見楽しそうなのですが、良くも悪くもカルトクイズになりがちで、環境での対戦知識がそのまま反映されるわけではない(大会に向けての準備とは異なる知識を要する可能性が高い)ことはネックです。また、筆記ではないクイズイベントですと、知識の齟齬があればあるほど盛り上がりづらくなります。具体的には、分からなかった問題の正解をみて「あー!あれか!!」ではなく(知らないカードだ…)で終わってしまうとあまり面白くありません。
時代に応じたクイズ番組風に演出してみる、盛り上げに長けた司会者スタッフを配置してみるなど、クイズ内容はそこそこに「どう盛り上げるか」が大事だと思います。
お絵かきクイズにて。何だコレ…?
■投票系
ex)デッキ賞、イラストコンテスト、フレーバーテキスト考案コンテスト、対戦して楽しかったプレイヤー投票、優勝者予想
敷居の低さ:高★★★★☆低
収容人数 :少★★★★★多
運営負荷 :高★★★☆☆低
時間負荷 :長★★☆☆☆短
個人的好み:嫌★☆☆☆☆好
「参加者またはスタッフが投票し、結果を競う」系サブイベント。
具体的に何をするかで内容にかなり差が出てきますが、全般的に言及できそうなのは「評価基準が曖昧になる」ことです。参加者からの投票では力関係や知名度で政治が発生してしまい、結果を見ても釈然としなさが残ることもあり得ます。コンテストですので、端からそういうものだろうと言われればそれまでなのですが……。
裏を返せば、誰かの琴線に触れればワンチャンスあるので意図せず入賞できる喜びはありますし、普段使わない脳を使うこと自体は楽しいです。
「オンリーワンデッキ賞」「優勝者予想」などは基準がはっきりと決まる良さがあります。特に優勝者予想、手軽ですしもっと行われていいのではないでしょうか?
■余興系
ex)じゃんけん大会、ビンゴ大会
敷居の低さ:高★★★★★低
収容人数 :少★★★★★多
運営負荷 :高★★★★☆低
時間負荷 :長★★☆☆☆短
個人的好み:嫌★★★☆☆好
「大人数で運ゲーを楽しむ」系サブイベント。
なにしろ盛り上がります。盛り上げることがそこまで難しくないのも良いです。
閉会式を迎える頃には運営が望むほどの人数は残っていないものですが、「ビンゴあるなら最後まで居るか」といった人は確実に増えます。とはいえ、閉会式後だと本大会が押してしまうと不可能なので、予選と本選との合間(スコア集計中)といったスキマ時間を潰すために行うことも考えられるでしょう。
サブイベントで余った景品を消化するのにも向いていますので、じゃんけん大会は最後にサプライズ開催でも良いですね。
僕は逆張りオタクなので、「やればほぼ確実に盛り上がるので逆に…」といった考えであまりやっていません。
■ミニゲーム系
ex)エクストラサモン、デュエルチェス、公式イベントの輪投げ
敷居の低さ:高★★★★☆低
収容人数 :少★☆☆☆☆多
運営負荷 :高★★☆☆☆低
時間負荷 :長★★★★★短
個人的好み:嫌★★★★★好
「短時間で手軽に遊べる」系サブイベント。
最近の推しです。ツイッターでそればかり書いている気がします。
導入経緯は「対戦が早く終わったときに暇を潰せるものを用意したい」というものでした。本大会に脱落してしまってから参加するのではなく、本大会と併催し、1〜3人程度で5〜10分遊べるものを意図します。
しかし、実際に多くの方に遊んでもらうことは難航しています。そもそも対戦の合間時間は振り返りや会話に使いたい方も少なくないのですが、ミニゲームという概念を知らない(所要時間不明・1人で行きづらい)、面白いか分からない、といった周知不足が一因です。遊んでみると結構面白いので、固定メンバーの周回になりがちな側面もあります。
サブイベントとしてしっかりやるにはディーラーを配置する必要がありますが、スタッフ1名あたりの収容人数が少ないので、いっそドラフト等とあわせて貸出キットとして置いておく形でも良さそうです。
オススメしないのは、1回のプレイにチケットや料金を要する形式です。複数名のプレイヤーを集めるのが難しくなり、たいていがディーラーと1vs1になってしまいます(それはそれで成立しますが)。ミニゲームの概念がもっと広まれば、このやり方でも集まるかもしれません。
ルールの簡略化や分かりやすい説明といった、受け入れてもらいやすくする努力はかなり要します。「ちょっと遊んでみようかな」まで持っていくために、ネット上で騒いでいただけるのはとても有り難いですね。
騒いでいただけた一例。デュエルチェスは神ゲー
■本大会+α系
ex)フィーチャープレイヤー(賞金首)、勝利報奨(◯勝以上でパック配布など)
敷居の低さ:高★★★★★低
収容人数 :少★☆☆☆☆多
運営負荷 :高★★★★☆低
時間負荷 :長★★★★★短
個人的好み:嫌★★★☆☆好
「本大会の対戦中に組み込まれている」系サブイベント。
企画そのものの時間負荷はないに等しく、やりようによっては「ドロップせずに続けようかな」と望むプレイヤーも増えるでしょう。
一方で考えなければならないのは、賞金首のドロップを妨げてしまい、望まない対戦をさせてしまう可能性があること。予選から本選に進出するプレイヤーが多く景品を獲得することになり、結果的に普通の賞品授与とそれほど変わらない場合があることです。賞金首となった方にも相応のリターンを用意する必要があるでしょう。
対戦時間が長期化する昨今、本大会に人を留め続けるのが好ましいのか?という点も課題だと思います。
本選またはサブイベントでポイントやクジ引き券を貯めるなど、サブイベと共通景品にするのは一案です。
■大会横断系
ex)デュエリストミッション(TCS11にて開催)、謎解きゲーム
敷居の低さ:高★★★★☆低
収容人数 :少★★★★☆多
運営負荷 :高★★★☆☆低
時間負荷 :長★★★☆☆短
個人的好み:嫌★★★★★好
「大会中のさまざまな要素を連動させて行う」系サブイベント。
「ミニゲームで勝つ」「特殊制限大会に参加する」などのチェックポイント、あるいは脱出ゲームのように謎解きを行うなど、多数設けられたフラグをクリアーしていくイメージです。全企画が包括されるので、ひとつひとつの参加意欲を高めることができます。
そもそも複数の企画が存在していないと成立させるのが難しいのですが、そういった類のイベントなら行う価値は十分にあります。
■フィーチャー系
ex)対戦動画、カバレージ、プレイヤーインタビュー、観戦スペース
敷居の低さ:高★★★☆☆低
収容人数 :少★☆☆☆☆多
運営負荷 :高★☆☆☆☆低
時間負荷 :長★★★★☆短
個人的好み:嫌★★★★☆好
「観戦の延長形態」系サブイベント。
動画配信は機材を要しますので、他大会で配信を行っている方や、近場のyoutuberなどに配信を打診してみるのが良いでしょう。フィーチャーテーブル(他卓と一線を画す動画卓)やリアルタイム観戦ブースを設けられるとプレイヤーの気が引き締まり、観戦側も盛り上がります。デッキバレを嫌がるプレイヤーもいますので、そこをうまく配慮するか、あるいは強制にしてしまうのも一つの手ではあります。
対戦動画はもとより、カバレージやインタビューを実のある内容にできるかは特に運営側の技量が問われます。
事後も残るコンテンツですので、継続して行う大会で宣伝の一環として行うのに向いています。動画などはもしかすると広告収入源になり得ることも頭に入れておくと良さそうです。
スクリーンの見やすさと場内の明るさの兼ね合いは事前に確認しておきましょう。(写真だと暗い気がしてしまいますが、手元のカードも十分見えてます)
■創作展示系
ex)物販、シャドーボックス展示、アーティストブース
敷居の低さ:高★★★★★低
収容人数 :少★★★★★多
運営負荷 :高★☆☆☆☆低
時間負荷 :長★★★★☆短
個人的好み:嫌★★★★★好
「遊戯王に関連する創作物」系サブイベント。
大会プレイヤーは意外とこういったものと接点がなく、興味を示してくれる方は少なくありません。
会場の許諾問題や、そもそも人材がいるかどうかといった方が壁となります。興味がある方は常にアンテナを張っておきましょう。
外部の方を招聘する場合、搬入・搬出は少なからず手間になりますので、同人イベントのように前日〜当日朝着で宅配便を受け入れ、夕方頃に集荷を予約しておくとナイスです。
思い当たる限りを書き出してみましたが、網羅できているでしょうか?
記事コメントやツイッターなどで「こんなのもあるよ!」と教えていただけるとこっそり加筆修正しておきます。